【2024年最新】介護現場の効率化を実現!AIツール9選と活用ガイド

介護現場におけるAIの活用が加速しています。人手不足や業務効率化への期待から、AIを導入する介護施設が増加。本記事では、介護業務を変革する9のAIツール・サービスを厳選してご紹介。導入のポイントや未来の展望についても解説します。

この記事を読んだらわかること

・介護現場の課題とAIへの期待

・AI活用によるメリット・デメリット

・業務効率化と介護の質向上を実現する9のAIツール紹介

・AIツール導入・活用の成功法則

・人とAIが協働する介護の未来像

・介護のDX推進の重要性

はじめに

我が国の介護業界は深刻な人手不足に直面しています。団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、約34万人の介護職員が不足すると予測されています。一方、介護現場は重労働と低賃金という構造的な問題から、離職率は16.7%と全産業平均を上回る高水準です。さらに、介護報酬の伸び悩みによる経営難から、サービスの質の維持・向上にも課題を抱えています。

こうした中、AI(人工知能)やロボット技術などのテクノロジーに大きな期待が寄せられています政府も2040年までに医療・介護分野へのAI・ロボット導入を全国展開する方針を掲げており、すでに多くの介護事業者がICTの導入を進めています。本記事では、介護現場の効率化を実現するためのAIツール・サービスの活用方法について解説します。

AI活用によるメリット

AI活用により、介護スタッフの質の向上、負担軽減、利用者・家族の満足度向上が期待できますAIによる業務の自動化や効率化で、スタッフは直接ケアに注力でき、専門性を高められます。また、利用者一人ひとりに最適なケアプランの作成や、24時間365日の見守りが可能となり、ケアの質が向上します。スタッフの負担が減れば、利用者とのコミュニケーションに多くの時間を割けるようになり、利用者の満足度も高まるでしょう。さらに、AIを活用した情報共有により、家族とのコミュニケーションも円滑になります。AIは介護の現場に大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、人の手によるケアを完全に代替するものではありません。AIと人の強みを組み合わせ、より質の高い介護の実現を目指すことが重要です。

AI活用によるデメリット

AI導入にはコスト面でのデメリットが存在します。初期導入費用だけでなく、システムのメンテナンスや更新、スタッフの教育などの継続的なコストも必要となります。また、新しいテクノロジーに適応するには時間がかかります。AIシステムを使いこなすためにスタッフへの教育が必要ですが、現場の業務を遂行しながらの学習は容易ではありません。加えて、個人情報を多く扱う介護の現場では、AIシステムのセキュリティ対策は極めて重要です。データ漏洩は利用者の信頼を失うだけでなく、法的な責任問題にも発展しかねません。システムの脆弱性を常にチェックし、最新のセキュリティ基準をクリアしておく必要があります。AIの導入は慎重に検討すべきであり、メリットとデメリットを天秤にかけ、現場の状況を見極めながら判断することが肝要です。

AIで介護はこう変わる!導入メリットと活用事例

記録作成支援システムの導入で、記録にかかる時間が約40%削減

AIやロボットの活用により、介護現場の業務効率化が大きく前進しています。社会福祉法人こうほうえんでは、AIを活用した記録作成支援システムの導入で、記録にかかる時間が約40%削減。社会福祉法人善光会の施設では、見守りセンサーの導入で夜勤スタッフの見守り業務が5分の1に減りました。

AIで業務を自動化・省力化によって残業時間が月10時間以上減少

AIで業務を自動化・省力化することで、スタッフの肉体的・精神的負担が大幅に軽減。社会福祉法人あいの土山福祉会では職員の残業時間が月10時間以上減少し、株式会社solastoではAIを活用した腰痛予防プログラムにより腰痛発生率が3分の1に低下しました。

AIを活用した転倒リスク分析で事故が約50%減少

データに基づく最適なケアプランの作成や、利用者一人ひとりに合わせたケアの提供が可能に。株式会社トランスリミットの施設ではAIを活用した転倒リスク分析で事故が約50%減少。社会福祉法人若竹大寿会ではケア記録のAI分析で利用者満足度が23.2%向上しています。

AIロボットを活用した新人教育の充実化で1年後の職員定着率が28.8ポイント改善

さらに、AIロボットを活用した教育システムやチャットボットなどによる新人教育の充実化で、職員の早期戦力化と定着率の向上も。社会福祉法人光風会では1年後の職員定着率が28.8ポイント改善。社会福祉法人京昭園ではエルダー制度とAIの組み合わせにより新人の離職率がゼロになったといいます。

見守りセンサーとAIケアプラン作成システムの導入で入居率が18.2%向上

加えて、AIの導入は経営面でも大きな効果を上げています。株式会社アスカの施設では、見守りセンサーとAIケアプラン作成システムの導入で入居率が18.2%向上し、年間2,400万円の増収に。社会福祉法人墨田区社会福祉事業団ではロボットを活用した業務効率化で、年1,500万円の人件費を削減しました。

このように、AIはあらゆる場面で介護を変革し、効率化と質の向上を同時に実現します。課題先進国・日本の介護の未来は、AIとの共生にあるのかもしれません。次項では、介護施設におけるAIツール・サービスの具体例を10選ご紹介します。

介護施設向けAIツール・サービス10選

介護の現場で活躍するAIツール・サービスは年々増加しています。ここでは、介護施設にとって特に有用な9のソリューションをピックアップしてご紹介します。

1. 見守りセンサー・システム

AIを活用した見守りセンサーは、利用者の状態変化を自動検知。ベッドからの離床や転倒、徘徊などをいち早くキャッチし、スタッフに通知します。急を要する事態の察知と未然防止に役立ちます。

ライブコネクト

ライブコネクトは、介護施設や在宅介護においてコミュニケーションや情報共有を支援するシステムです。利用者や家族、介護スタッフをつなぐビデオ通話機能や、バイタルデータ等の情報共有機能を備えています。遠隔地の家族も利用者の状況を把握でき、多職種間での連携もスムーズになります。また、AIを活用した見守り機能や健康管理サポート機能も提供しています。ライブコネクトは、利用者と家族、スタッフをリアルタイムでつなぎ、より良いケアの実現を支援するシステムと言えます。導入には一定のコストがかかりますが、業務の効率化やケアの質の向上が期待できるソリューションです。

LASHIC-care

LASHIC-careは、介護施設向けの業務支援システムです。介護記録の作成や管理、ケアプランの作成、バイタル管理、シフト管理など、介護業務全般をサポートする機能を提供しています。クラウドベースのシステムで、パソコンやタブレット、スマートフォンから利用可能。インターフェースがシンプルで使いやすいのが特徴です。また、AIを活用した業務の自動化や、データ分析による利用者の状態変化の予測なども行えます。施設内の情報共有やケアの標準化、業務の効率化に寄与し、スタッフの負担軽減とケアの質の向上に役立つシステムです。導入実績も多く、介護施設の業務をトータルにサポートするソリューションとして注目されています。

2. 介護記録の自動化ツール

音声入力やセンサーデータから介護記録を自動生成するツール。スタッフの記録作業負担を大幅に軽減し、ケアの質向上と利用者とのコミュニケーション拡充に寄与します。

ケアコラボ

ケアコラボは、在宅介護サービスにおける情報共有と連携を支援するクラウドベースのシステムです。介護事業所、医療機関、行政、家族など、様々な関係者が利用者情報を共有し、シームレスに連携できる環境を提供します。ケアマネジャーによるアセスメントやケアプラン作成、サービス提供記録の管理、バイタル情報の記録と共有など、在宅介護に必要な機能を備えています。さらに、AIを活用した利用者の状態分析や、将来のニーズ予測なども可能です。ケアコラボは、多職種連携を円滑にし、利用者に最適なサービスを提供するための基盤となるシステムです。在宅介護の質の向上と業務効率化に寄与し、地域包括ケアシステムの実現を支えるソリューションとして期待されています。

ケア記録アプリ

ケア記録アプリは、介護現場におけるケア記録の作成や管理を支援するモバイルアプリケーションです。介護スタッフがスマートフォンやタブレットを使って、利用者のケア内容や状態変化、バイタル情報などを簡単に記録できます。記録と同時に写真や動画も添付可能で、より詳細な情報共有ができます。また、音声入力機能を使えば、手書きの手間を省いて効率的に記録できます。記録したデータはクラウド上で管理され、他のスタッフとリアルタイムで共有・閲覧が可能。ケアの引継ぎもスムーズに行えます。さらに、記録データの分析から、利用者の状態変化の把握や、ケアプランの評価・見直しに活用できます。ケア記録アプリは、介護現場の業務効率化と情報共有の促進、ケアの質の向上に役立つツールとして注目を集めています。

3. 服薬管理アプリ

利用者の服薬情報をデータベース化し、飲み忘れや重複をAIがチェック。適切な服薬管理により、健康リスク低減と業務効率化を図れます。

めでぃさぽ

めでぃさぽは、薬剤管理に特化した介護支援システムです。利用者の服薬情報や薬歴、アレルギー歴などを一元管理し、複数の疾患や服用薬の飲み合わせをチェックできます。また、服薬カレンダーの作成や服薬タイミングの通知、残薬管理など、服薬に関する一連の業務をサポートします。クラウドベースのシステムで、介護施設や薬局、医療機関との情報連携も可能。利用者の服薬状況を関係者で共有し、より安全で効果的な薬剤管理を実現します。さらに、AIを活用した服薬データの分析から、副作用のリスクや服薬アドヒアランスの予測なども行えます。めでぃさぽは、服薬管理業務の効率化と適正化を支援し、利用者の健康維持と医療安全に寄与するシステムとして評価されています。

4. AIチャットボット

AIを活用した会話ロボットやチャットボットは、利用者の話し相手に。認知症ケアにおけるコミュニケーション支援や、スタッフの負担軽減に有効です。

Cognigy

Cognigyは、会話AI構築プラットフォームです。自然な対話を通じて利用者とコミュニケーションをとるAIチャットボットを、プログラミング知識なしで開発できるのが特徴です。利用者からの質問に24時間365日対応し、必要な情報提供やサービス案内を行えます。また、チャットデータを分析し、利用者のニーズや課題を把握することもできます。さらに、音声認識機能を活用すれば、高齢者や障がい者でも簡単にシステムを利用可能。介護施設のスタッフ業務をサポートするチャットボットも開発でき、業務の効率化が期待できます。Cognigyは、利用者の利便性向上と、介護サービスの質の向上に寄与するAIソリューションとして注目を集めています。ただし、導入にはある程度のコストと専門知識が必要となります。

5. ケアプラン作成支援AI

利用者情報やアセスメントデータを解析し、最適なケアプランを提案するAI。エビデンスに基づく質の高いケアマネジメントを可能にします。

SOIN

SOINは、介護施設向けの情報共有・業務管理システムです。利用者情報の管理、ケア記録の作成、バイタルサインのモニタリング、シフト管理など、介護業務全般をサポートします。タブレットやスマートフォンを使って、現場のスタッフが簡単に情報入力・共有できるのが特徴です。記録と同時に写真や動画も添付でき、より詳細な情報共有が可能。また、音声入力機能により、手書きの手間を省いて効率的に記録できます。蓄積されたデータはAIで分析され、利用者の状態変化の予測やケアプランの最適化に活用できます。さらに、遠隔でのバイタルチェックや見守り機能も備え、利用者の安全管理にも役立ちます。SOINは、介護現場のデジタル化を推進し、業務効率の向上とケアの質の向上に寄与するシステムとして期待されています。

ミルモプラン

ミルモプランは、介護事業所向けのケアプラン作成支援システムです。ケアマネジャーによる利用者のアセスメントから、ケアプランの作成、サービス担当者会議の開催、モニタリングまでの一連の業務をサポートします。AIを活用し、利用者の状態に応じて最適なケアプランを提案。作成したプランは関係者間で共有でき、スムーズな連携が可能です。また、ケアプラン作成に必要な書類の自動生成機能や、過去のプラン・アセスメントデータの分析から、ケアマネジメントの質の向上も期待できます。クラウドベースのシステムで、パソコンやタブレットから利用可能。セキュリティ対策も万全で、安心して利用できます。ミルモプランは、ケアマネジメント業務の効率化と標準化を支援し、利用者により質の高いサービス提供を目指すシステムです。導入実績も多く、ケアマネジャーの業務改善に役立つソリューションとして注目されています。

6. コミュニケーション支援ツール

タブレットやプロジェクターを使った映像コミュニケーションや、脳トレゲームなどのコンテンツ。認知症の方の言語・認知機能の維持・向上に役立ちます。

寄り添いコミュニケーション 星輝しおり

星輝しおりは、高齢者向けのコミュニケーションロボットです。人工知能を搭載し、自然な対話が可能。利用者の話を傾聴し、その人に合わせた会話を行います。また、昔話や懐メロを話題に取り入れ、高齢者の心に寄り添うコミュニケーションを目指しています。日常的な言葉がけや、服薬や食事のリマインダー機能も備え、高齢者の生活をサポート。さらに、家族との音声・ビデオ通話機能を使えば、遠く離れた家族とのコミュニケーションも促進できます。センサーで利用者の状態を検知し、異変があれば遠隔の家族や介護施設に通知する見守り機能も搭載。星輝しおりは、高齢者の孤独感の軽減と安全安心な生活の実現を目指す、次世代のコミュニケーションパートナーです。ただし、人とのコミュニケーションを完全に代替するものではなく、あくまで補助的なツールとして活用することが大切だと考えます。

このように、AIツールは実に多岐にわたる介護業務をカバーしています。軽減される負担は計り知れません。一方で、導入には課題も伴います。次項では、AIツール導入・活用の成功法則についてご説明します。

AIツール導入・活用の成功法則

AIツールを導入すれば、それだけで介護が変わるわけではありません真の成功のカギは、ツールを現場にいかに根付かせるかにあります。

まずは導入前の入念な準備が肝要です。解決すべき課題を優先順位付けし、具体的な数値目標を設定しましょう。併せて、ツールの機能と現場の要望のマッチングを丁寧に行い、無理のない導入計画を立案します。

次に、スタッフの理解と協力を得ることが重要です。現場スタッフを巻き込んだプロジェクトチームを結成し、全員で課題解決に取り組む体制を整えましょう。AIツールへの不安や抵抗感は、丁寧な説明と教育で払拭することができます。前向きな活用意識を醸成するのです。

利用者・家族への説明とコミュニケーションも欠かせません。目的と期待される効果、プライバシー保護への配慮などを丁寧に説明し、理解と協力を得るよう努めましょう。

いざ導入する際は、小さく始めることがポイントです。全館一斉導入ではなく、一部のフロアやユニットで小規模な実証実験から始め、効果と課題を検証。その結果を基に改善しながら、徐々に適用範囲を拡大していくのが賢明な方法と言えるでしょう。

さらに、AIツールで蓄積したデータを最大限に活用することが、改善を加速させます。データ分析の結果を基に、ケアの最適化・個別化を進めていきましょう。加えて、効果の「見える化」はスタッフのモチベーション向上にも一役買います。

課題先進国・日本の介護に、AIという新たな風が吹き込んでいます。10年後の介護の姿は、今とはきっと大きく変わっているはずです。そこで重要なのは、AIを効果的に活用し、人の強みを最大限引き出していくことではないでしょうか。介護の未来と、AIとの共生について、次項で展望します。

AIを活かした介護の未来像

AIが介護の世界にもたらすインパクトは計り知れません。今後ますます少子高齢化が進む日本において、限られた人的資源を有効活用しながら質の高い介護サービスを実現するためには、AIをはじめとするテクノロジーの力が不可欠になるでしょう。

まず、AIと人とが協調するハイブリッドな介護が広く実践されるようになります。AIには膨大なデータから有益な示唆を導き出す力があります。一方、人は状況に応じた柔軟な対応力と、相手の感情に寄り添う共感力を武器とします。この両者の強みを掛け合わせることで、これまでにない質の高いケアを実現できるはずです。

そして、ケアの最適解を導くデータ駆動型の科学的介護へとシフトしていくでしょう。ケア記録や行動・バイタルデータなどのビッグデータ分析から、エビデンスに基づくケア方針の決定が可能になります。画一的な対応ではなく、利用者一人ひとりの状況に合った個別ケアの提供が当たり前になる未来が訪れるかもしれません。

さらに、業務の効率化と省力化が飛躍的に進むことで、介護現場の労働環境は大きく改善するでしょう。単なる作業の代替ではなく、AIを活用した業務の高度化により、介護スタッフはより専門性の高い業務に注力できるようになります。

加えて、テクノロジーの発展によりコミュニケーションや認知機能の維持・向上を支援する様々なツールが登場するでしょう。介護サービスは、単に心身の世話をするだけでなく、利用者のウェルビーイング(Well-Being)の実現へと役割を拡張していくことになるかもしれません。

こうした未来を実現する鍵は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にあります。単なるツールの導入だけでなく、業務プロセスの改革や、データ活用のための基盤整備、デジタルスキルの向上など、組織を挙げての変革が求められます。今こそ、その一歩を踏み出すとき。AIの力を借りて、より良い介護の未来を創っていきましょう。

さいごに

本記事では、AIを活用した介護現場の効率化について解説してきました。見守りセンサーやコミュニケーション支援ツールなど、様々なAIソリューションが登場し、大きな成果を上げつつあります。

しかし、AIはあくまでもツールに過ぎません。そのツールをいかに使いこなすかは、私たち人間次第。現場を知り尽くしたスタッフだからこそ、AIを最大限に活かす創意工夫ができるのです。

AIに任せきりになるのではなく、人にしかできない仕事の価値を再認識することが大切です。コミュニケーションスキルや状況対応力など、人ならではの能力を磨きながら、AIと協調していく。そうした取り組みの積み重ねが、これからの介護を支えていくのではないでしょうか。

超高齢社会に突入した日本にとって、介護の課題解決は待ったなしの状況です。私たち一人ひとりが、AIを味方につけながら、より良い介護の在り方を模索し続けること。利用者の尊厳を守り、そのQOL(Quality of Life)を高めるという介護の本質的な価値を、これからも追求し続けること。それが、私たちにできる介護の未来への貢献ではないでしょうか。